ジャカルタ再び 2023.3月
連休明けに発送した作品展のご案内がそろそろ皆さまのところへ届いている頃でしょうか。
今年も初夏展をいつもの神楽坂フラスコさんで行います。
今月最後の週末、5月26,27,28日です。
(内容については次回の投稿でお知らせします。)
私は来週帰国予定、また皆さまにお目にかかれることを楽しみにしております!
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今日はその前に、
もう一回ジャカルタのお話を少々です。…といいつつ、また長い。(笑)
今年に入ってすっかりインドネシア化が進んでいるアトリエマニス。
私自身がインドネシアを再度見なくちゃと思ったら、ほぼ時期を同じくして
ジャカルタのお客様も増えてきました。
ジャワ各地からサンプルや仕上がった生地が届くと同時に
国内のお客様へバリ島から服を発送することも軒並み増えてきました。
国内のごひいきが増えたのはレートと物価の関係だと思われます。
これまで「高い」としばしばいわれてきたマニスは、今は他と比較して一般的価格になっているような。
まぁ、とにかく
昨年までは荷物と言ったらほぼ100%国際便だったのが今や週に何度も国内の宅配便を使っています。
日本で言うところのバイク便、GosendもデンパサールとUBUD間で500円くらいで
本当に便利になりました。
オジェック(バイクタクシー)もオンライン配車で簡単に頼めるし、今や不便と言えば、
渋滞と洪水と停電と銀行の連休くらいでしょうか。(まだ結構ある・笑)
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さて、3月にもう一度行ったジャカルタでは
少し行動範囲を広げてみました。
今まで中心地のJCCという展示会場とホテルの往復がほとんど。
今回は違う展示会場なのでその近くに宿泊して、ジャカルタ在住の方々にお世話になりながら
ほぼ車での移動でした。
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初日。
空港から真っすぐ向かったのはミュージアム・マチャン。
ジャカルタの現代アートミュージアムです。こちらであの森美術館でコロナ前に見た
塩田千春の「魂がふるえる」展開催中。
同じ展示を異なる会場で2回見るというのも初めてながら、
日本での塩田展との比較がなかなか印象深かったです。
在住の方と待ち合わせて、一緒に。
平日の夕方ですが非常に空いています。
塩田さんの作品は表現がシュールでちょっと怖いんですが、
紐や布のようなテクスチャーを多く使っていらして
私はすごく好みです。配色やその他の素材感も全部好み!
あの赤い毛糸をあやとりのように絡ませ天井と壁に貼り付けた「不確かな旅」というインスタレーションは
会場係以外皆無の独占状態でした。
写真がうすらぼんやりでごめんなさいですが。
森美術館ではエスカレーターのファサードに高い位置で設置されていた白いボートの作品は
床面からずっと窓に向って上がっていくように設置されていて、どんな素材で出来ているのかがよく分かりましたが
子供が触って取れちゃった?みたいな箇所も多少あり。(笑)
白いプラを不織布のようなランダムな編み目でプレートにしたようなものを
重ねて、遠目には溶けていきそうな表情になるんですね。
黒いさみだれのような無数の紐。この作業そのものが、もう、非常に工芸的です。
展示ごとに一体どれだけの人がどのくらい時間を費やしているのか。
燃えちゃったピアノの作品も来ていました。あと、揺れるカバンも。
一緒に行かれた方が、これ怖いと言ってました。
カバンの中に揺れる仕掛けが入っていて、ぶつかる音がカタカタする。
動きの中にどこか過去の人の気配を感じられるようで、実際怖いです。
森美術館の展示の半分くらいの内容でしたが、塩田ワールドに浸るには十分な規模。
それにしてもインドネシア人の今の世代がこの一昔前のアバンギャルド系の表現をどう受け止めているのか、です。
ただのインスタ映えで終わらないで欲しいところ。
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さて、このジャカルタトリップは
「テキスタイル展」ほか3タイプのインドネシアのアパレル系合同展示会があるとのことで、それがメインイベント。
場所はインターエクスポという海の方にある展示会場で、
まわりには商業的なものが全然ない閑散としたエリアです。
ノッポビルの間にあるのが会場です。ホテルからは徒歩。
ところが、うっそーん。
ほぼこの展示会関係者で占められているはずの宿泊客は中国人だらけ!
やや不安になりながら会場に赴くと
テキスタイル部門には、輸入の許可が難しいというのにコロナからの開いたばかりの中国からの出店者が半数以上。
英語もあまり通じないし、サンプルも少ないし、
しかも注文の最低数は1000メートルという。
…わが社は生地の輸入を禁止されてしまったのだから、ならばインドネシア国内のアパレル生地を見て見たかった。
のでしたが、残念ながらインドネシア国産はポリエステルや再生繊維が多く天然繊維はほぼなし。
日系繊維会社が少し綿の見本を展示していたくらい。
写真は、エコっぽく展示されたパルプからのリヨセルだったかレーヨンだったか。
他は、デジタルプリントなどのプリント技術や、靴下を編む自動編み機とか、
面白かったけれど買えるもの皆無。
写真は、縫い糸メーカーの展示。全部ポリ。
数時間で見終わってしまったので、モールにインドネシア人デザイナーのブランドを見に行きました。
そちらはなかなかオシャレで面白かった!
写真は、バティックブランドのポップアップ。
試着している方の写真は、これがある意味現代インドネシア風です。
バティックをこんな風に着るのね。
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翌日は、在住の方とボゴールというジャカルタから1時間半くらいのところにある避暑地エリアへ。
最近こちらに引っ越されたインテリア&服のギャラリストのお宅です。
引っ越し間もないというのに、とても落ち着いたたたずまいです。
家具や布を幅広く扱っていらっしゃる。
やや標高があり涼しいボゴールで
お庭が楽しめる分譲住宅地の中古を購入されたのだとか。
隣りや向かいの家との間に塀が無く、広々とした印象です。
価格は、日本の新築マンション並み、といったところ。
ジャカルタのお金持ちの方々の週末用別宅ですが、もしもうるさいお隣さんがいたらどうなんだろう、という敷居の無さ。
ところ変われば、ですね。
こんなのびのびとしたお家に一人暮らしってちょっと羨ましいです!
ローカルのお取り寄せご飯をご馳走になり、その後暗くなるまで
布や服の事をおしゃべりして帰りました。
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アトリエマニスの社会勉強atジャカルタ、でした!
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