インド行きました 2022.5 その2
続きますと言いながら、
2か月もあいてしまいましたが
再開です。
まずは日本の皆さまへ
暑中お見舞い申し上げます。
インドで49度の日が1度ありましたが
日本とは暑さの質が違いますから
のんきに外歩きしてました。
毎年暑さも寒さも天候の振れ具合もどんどんギャップが大きくなり
斎藤幸平さんのような革新的な主張がやっと出てきましたが
どうか間に合いますように。
いえ、あの、きっと間に合うんですが。
この夏休みは、世界中の人が待っていた夏休み。
行きたかった、我慢していたところにやっと行くんだ!
シャンパンの泡がはじけるようなピチピチしたエネルギーが
感じられるのは私だけでしょうか?
日本のこの夏の感染拡大、
私の中では
スペイン風邪の時のオーストラリアみたいな印象があります。
世界中がパンデミックで大わらわな頃には封じ込みができていたのが、
他国ではそろそろ集団免疫がついて再開する時期になって
感染が激増するという?
(スペイン風邪の頃のオーストラリアはいち早くロックダウン、鎖国をしたので当初は流行らなかったが世界で終息に向かう頃にパンデミックに陥ったそうです。)
しかしこれ、日本だけではない可能性も。
人々はコロナへの恐怖心、警戒心が薄くなり、「もうそろそろ終わりにしようよ」という空気感になり
熱が出ても検査してないだけ、って気がします。一先ずバリ島ではそんな感じです。
かくいう私も知らず知らずのうちに罹っていて
出国72時間前のPCR検査で陽性が出てしまったんです!
ピークシーズンゆえ日程変更の差額は高額ですが
これはもう仕方あるまい。
8月2日からの帰国予定を3週間延期することにしました。
8月をまるまる開けようと6月下旬から秋物試作に取り掛かってきたので
制作はもうスタッフだけで進行できるようになっていますし、
「延期」により予期せず時間の棚ぼたが訪れたので
さっそくブログの更新をば。
表題の「インド記」を続けます。
・・・・・・・・・・
2022年5月14日(土)
インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州の拠点、マンディの街から出発。
車からの写真しかありませんが、川を挟んで両側に美しい景色が広がっています。
山の緑も青々と美しく、気温はデリーより10度も低い。
この日は、
ずっと前から連絡を取り合っていたマンディ郊外のHimachal Textileというウール工房からスタートです。
ヒマーチャル州のウールは
素朴で安定しているので
毎度あの手この手で取り寄せていましたが
いつか見に行かなくては、と思いながらのコロナ中断でした。
娘さんのアンシュルさんが案内してくれました。
まずはこの作業から。
山になっている原毛からゴミを取り除いています。
傍らには、乗っても凹まないくらいパンパンに硬い袋が山積みされています。
1袋は100キロですって。
何匹分の毛だろう?
●
地域では、
インド政府の繊維省のサポートを得ながら
原毛になる家畜(羊、ヤク、アンゴラなど)を飼育する生産者、
繊維製品をつくる生産者がいて
大きく二手で分業しているそうです。
織り手は(家畜生産者と同じ人たちの場合もあるかもですが)
桃源郷の住民たち。
紡いだ糸を支給し
政府から支給された織機で
産地特有の手織りウールを作っています。
●
紡績には機械を使いますが、それでも大変な手間です。
大学で繊維学を学んだアンシュルさんは機械の調整もお手のもの。
お父さんの代から
機械は買うのではなく、自分たちで作ったのだという。
●
原毛はまず種類別により分け、洗います。
そしてコーミングするとふわふわの太い紐のような状態になります。
脂ぎっていた自由奔放な原毛はこの過程で空気を含み
一気に素晴らしい素材に変身します。
下は、
撚りを掛ける前のローカルシープの毛。
天然のままの色だそうです。
(※メリノウールも広く使われていますが、オーストラリアからの輸入です。)
撚りを掛けるのはアンバーチャルカと呼ばれる機械。
作業はオートメーションではなく
全て人の手により管理されています。
●
出来上がった糸は織り手へ分配される。
下の写真の女の子は織りの研修生です。
工房では、
足にハンディキャップがある住み込みの職人さんも抱えていらっしゃるそうですが
地域の山あいに契約している織り手は200人にのぼるそう。
織りあがったものをまた買い取り、
インド各地や海外で政府が奨励する販売会を通したりして
販売している。
政府が管理、支援していることから
多くの人々にとって買いやすい価格にもなっていて
ある程度の数量が売れるから
たくさんの職人を抱える事が出来る、というわけです。
●
これはカットゥと呼ばれる模様織。
ヒマーチャル伝統のウール織物は主にショールで
両端にこのカラフルな織柄が入っています。
ナチュラルなローカルウールにカラフルな市販の毛糸を織り込みます。
今回はアトリエマニスの服地用に、
ナチュラルカラーの圧縮ウールとヘリンボーンを買いました。
こうした服地は総じてツイードと呼ばれていて
ヒマーチャルの男性のジャケットに使われているようです。
手織とのことですが一部は機械織のようです。
●
さてさて。
授業終了。
アンシュルさんが
ひよこ豆の炒ったのとプラムを出してくださったけど
時間が無くて。おみやげに包んでいただきました。
●
幹線道路に面しているショールーム。
不便な地域ではありますが、興味がある方はこの写真を参考に
ネットで調べてみてください。
この方がアンシュルさんですよ!
●
先を急ぐ私を察して
Himachal Textileから少し先まで彼女に同行してもらい
地域の事などをさらに教えてもらいました。
エアコン車だから助かったものの、ホコリがすごい!
●
下の写真は、マンディ地域の中でも風光明媚といわれる
ビューポイントです。
よく見ると
山の上の方まで家々が点在しています。
住民たちは主に自給生活なのだそう。
冬の間は備蓄食料と薪だけで籠る。
水は川から山の上の方までポンプで引いている。
「これだけあれば安心、モノが多すぎると逆に不安ですよ」、って。
8月辺りの雨期には緑が生い茂るのでしょうけれど、
私の知っている人が暮らす場所とは
ハッキリ言って程遠い。
これでも数日前まで豪雨だったのです。
「モノが少ない方が、いつくらいまで暮らしていけるって具体的にわかるから安心するんですよ」
どうでしょう、この景色を見て豊かだと思えなかった私の貧しさと言ったら。
この風景の中にたくさんの家庭があり、若者も、子供たちもいるんですね。
幸せって、すごく近いところにありますね誰にもきっと。
(はい、私はいつも最高に幸せですけれども。笑)
●
アンシュルさん&ショールームのスタッフさんとランチ。
彼女たちはこの後、灼熱の幹線道路で
どのくらい待ったのだろう、路線バスで帰宅していきました。
(自家用車もあるのに倹約家なんだなぁ、と思いながら)
こんな場所でも道が渋滞していたのは丁度ウエサク祭休暇だったから?
●
この後、ホコリまみれのまま
渋滞にはまりながら
クルの街を目指します。
道路は少し前と比べたらすんごく改善されているそう。
次に来る頃には山間の長距離トンネルも開通して
デリーからの所要時間が半分になるよ!って運転のシュルジートさん。
それにしても、、
ずっとこの乾燥した景色が変わらぬまま。
地球がどれほど乾燥し暑くなっている事か。
これ、滝なんだって。
干からびて見えるけれど、
確かに周囲に緑があるからそうなのかも。
●
わお、もう日没の時刻。
渋滞その他で2時間も遅くなりましたが
それでも待っててくれたおじさんと息子さん。
右のワンコは何とルビー!
(ウチのわがままゴールデンと同じ名前)
ここはヒマーチャル州の観光地、クルという街の郊外にある
ウール産業の特別区。
作業場はさすがに時間的に見れませんでしたが
素敵な在庫を購入できました。
一日が長い事といったら。
前日のホテルでwifiが使えなかったことから
この日の宿がまだ予約されていなかったのを思い出し、
下調べしていたホテルに
もう時間的に直接行きまして。
●
そしたら、、
すごく素敵なお宿でした。
エコノミークラスは分かりませんが、wifiが使えるのは
ワンランク上のみで
そしたら、、
villaでした。けど、予算内の価格、です。
コンクリだけど伝統建築でリビングスペースもあって
バルコニーからの夜景が
何とも素敵でした。
子供たちの声や車の音が
山間こだまして
幸福度高かったです!
いやはや、
実は
今回は
短期ながら旅程が未定という初めての体験。
ヒマーチャルのふところにダイブしています。
・・・・・・・・
続きます!!
●
過去最高に長かったかも。(笑)
読んでくださって本当にありがとうございました!
また続きも読んでいただけたら!
| 固定リンク
コメント