まめしんぶん 2019.春夏 1 ブルーの服
GW直前に投函している作品展のお知らせDM、
受け取られていますか?
今回は、西ベンガルの写真を少しコラージュしてみました。
早いもので作品展と銘打っての季節の展覧会も、もう69回目。(次回の11月には70回目となります!)
アトリエマニスをスタートしたのが1999年辺りですので、今年辺りはかれこれ20歳。
こんなに長く一つのブランドを続けてこられるなんて、
本当に感謝の一言に尽きます。
着てくださる方があってはじめて存続できる仕事です。
皆さま、いつもありがとうございます!!
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今回の春夏服は、あえてナチュラルなタイプに偏ってみました。
まずは昨年末の本藍の出会いから。
藍染師佐々木睦子さんに染めのお願いをし、そこから発展して
前から訪れてみたかった徳島の本藍染工房・矢野藍秀さんのところで
服を染めていただくことが出来ました。
本藍を中心に、インディゴ染によるさまざまな布集めをしてきました。
また、
段々ヒートアップする世界気候の中でより快適に着られる夏服をイメージすると、
それはやはり西ベンガルのカディコットンでした。
モスリンと呼ばれる極薄コットン、おそらく世界でも最も薄いタイプの手織コットンは
以前から大好きで何度も使っていますが
今回は
昨12月より2回に渡って布探し、注文、産地の訪問、と
コルカタを拠点にかかわって来ました。
もうひとつ、
同じカディでも綿花そのものが異なり風合いも独特なカラコットンも
産地のカッチ地方・ブージから入手してみました。
「布集め」にスタート地点を置き、集まった布で
着やすい服&いつまでも着られる(なるべく!)服を今回も。
少し早めですが、今日から3回に分けて、「まめしんぶん」2019春夏服を投稿していきます!
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本藍染の服
矢野藍秀さんは、着分ずつの生地を染めるのがベストとおっしゃったのだけれど
いろいろ考えて、先に縫いあげた服を染める方法でお願いをしました。
こちらはリネンガーゼ。コットンよりも藍を良く吸い込み、深い色合いとなりました。
ほとんど黒に近い深さ。それでも透明感がある。
矢野さんの本藍染めについては前に書いていますが(→こちら)
インディゴ染料とは異なり色が落ちない、というところが本当に素晴らしい。
何よりも鮮やかな染め上がりが素晴らしい。
(そのほかさまざまな効果も期待できると言われています。)
矢野さんがこのリネンガーゼをご覧になったときに
「わ、いい布ですね!」と即おっしゃった。
ショール用のみならず服地になる強度があります。
京都の麻専門老舗のリネンガーゼ。
本藍は染める人によって出来上がりが結構異なるのかもしれない、とふと思いました。
こちらのチベタンチュニックのほかに、80番手リネンのシュミゼ、ツイルのパンツも好評です。
下が佐々木睦子さんによる染です。
あまりにも鮮やかで、写真にうまく写し込めませんでしたが
光が差し込む深海のような自然界のイメージ。
佐々木さんは、藍が持つ潜在能力は人を治癒すると言い
染めるタイミングや内容はインスピレーションで決められているようです。
今回お願いしたのは、作品の中でもひときわ強い印象がある「ねじり絞り」です。
本藍独特の濃淡が1点ごとに異なり、絵画のような出来上がり。
佐々木さんのこれまでの中でも手ごたえがあったそうで、「作品に光を入れることができた」、と。
今回の新型「バックタックパンツ」を仕立てていますが、
布の特性から、一部を作品展時にカスタムオーダーをお受けすることにしました。
デザイン、サイズなどを承り7月下旬までにお仕立てする予定です。
2着限定です。
インディゴブルーの服
本藍とはまた違ったインディゴの魅力。
今期最初に入ってきたのは、アフリカ。ブルキナファソの手織です。
岩立ミュージアムやBigaさんでも販売されている、アレです。
New itemでも以下のように紹介中です。
ブルキナファソという西アフリカの小さな国はかご編みで最近知られていますが、綿とのつながりが深いモシ族のお話を文化人類学者の川田順三さんが書かれています。
モシ族は綿を織るだけではなく種を食用にもするそうです。
岩立広子さんによれば、細幅(10センチほどの)テープのような織物を横に何枚もはぎ合せた衣は、昔、懐が寂しい時には何枚か切り取ってお金の代わりにした、という事もあったらしい。
手縫いによるはぎ合せは思ったよりしっかり縫われていて風合いも気持ちよく、服になってまた一段と個性が出たと思います。
1枚の大判ショールからパンツが1着、それぞれの厚さや染め濃さが異なります。
まずはしっかり洗いこんでから仕立てました。
色が相当落ちた分風合いがソフトになりました。
1枚ずつ染めあがりや風合いも異なるので、面白い出来上がりに。
下は、先染めリネン。
薄くてナチュラルな皺がおしゃれな手織りです。
西ベンガルで作られていますが糸はヨーロッパから輸入しているようです。
見返しと袖口裏の赤い部分は1ミリ幅のステッチ。
表側は生地と同色の糸なのでプレーンです。今回はお試しに、生地生産地のコルカタで縫ってもらってみました。
ピンタックや細幅ステッチに長けたベンガル人仕立屋集団の仕事です。ちなみに全員男性です!
下のパンツ(インドパンツ)は同じものはもうなくなってしまったのですが、
上のジャケットの生地で似た感じのリピートを作っています。
紐が赤ではなくインディゴ。白との配色もあります。
ポケット口、裾にやはりステッチワークが入っています。
ジャムダニ・カディコットンの服
2月にもご紹介をしているジャムダニです。(→こちら)
2月制作のプルシュミゼはストール風の極薄でしたが、下のチベタンチュニックは
ロング丈用に少ししっかりした糸を選んで織ってもらったもの。
織産地の様子は先日アップしています。(→あちら)
現代社会の中で希少と思われる
有機的で伝統的な生活様式の村で丁寧に織られている
ピースフルな織物であり、
恐らく世界でもっとも薄く軽いタイプのコットンです。
昨年ご紹介したダッカのジャムダニは複雑な織模様でかなり高価なサリーでしたが
今回のジャムダニは単純模様を全体に入れて服地用に長く織ってもらいました。
ダッカやタンガイルのものと比べて、素朴なセンスが感じられます。
インディゴの濃い染めと薄い染め。
下が薄い方。
白地のものも爽やかな出来栄えです。
出来るだけ細い縫い代で、ステッチを重ねて丈夫に。
この薄地縫いはバリの我々マニススタッフの熟練者が上手にやってくれました。
ジャムダニの織模様に合わせて、繊細なステッチワークが
効いていると思います。
こういう布だからこそ、細部がポイント。
デザインはほとんどないくらいのシンプルなチュニックです。
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続く。
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