まめしんぶん 2018AW 2
生成ノクシカタの服
DMの左側に印刷した今回メインの素材、生成地に生成糸のノクシカタです。
薄いコットンを2枚重ねた刺子です。
仕上げに水洗いしてしわしわにしているので分かりにくいかもしれませんが、
裾、袖口、前端は見返し。縫い目はパイピングテープで薄く仕立て上げた「ホールドシャツ」です。
パワフルな布の無垢な表情を気軽に着ていただきたいと思い、
このシンプルなシャツをつくりました。
刺子の素材感、もっとアップだとこんな感じです。
バングラデシュのコットン刺繍布「ノクシカタ」は
刺繍模様を色糸で刺し、背景を生地と同じ色糸で刺子してしっかりさせるもの。
刺子部分はクチと呼ばれ、目立たないようにとても小さな針目です。
クチだけで服地って、生産者の方にとってはあまり楽しくない仕事だったと思いますが
昨年から注文し、1月には産地を視察させてもらいました。
普段は小物用の小さなものを多く作っているようですが、
ノクシカタの伝統では着古した白地のサリーを重ねてベッドカバーのようなものをつくっていたようなので
服地のような大きなサイズでも作り上げられるのかもしれません。
無地のものを織る、刺す、という永久のような仕事を淡々と積み重ねるのは
もはや今の時代、とても希少。思わず掌を合わせたくなります。
ステッチ入り布ならいくらでもドビー織機で織れますし、
服の多くは使い捨て価格の時代です。
これほどの仕事をしてくださったジェッソール近郊の生産者の皆さん、
生産管理をしてくださった日本バングラデシュ文化交流会の皆さんに
心から感謝いたします。
生成ノクシカタの糸には少し光沢があり、
それに合わせシルクオーガンジーを使った3アイテム作りました。
下は、「フォイユドレス」と呼んでいるツーピース。
ノースリーブのノクシカタのドレスと、シルクオーガンジーを二重に使ったTOPを重ねています。
下の写真、布幅いっぱいで作ったのですが裾が少し短いので
後から裾丈をプラスしました。
その切り替え部分にもシルクオーガンジーを重ねています。
ループスカート。
ノクシカタをスカート丈分に裁断して、それを生地耳同士はぎ合せてから裁断。
こうすることで、裁ち落とし部分がうんと少なくなります。
表と中地が90度くらいツイストするのがちょうど良いようです。
生成のノクシカタは一年通して着やすいやさしい服。
ぜひ着てみてください!
黒のノクシカタ
もうひとつのノクシカタは、黒地に赤糸でお願いしてみました。
下の服はDM右側写真に使ったものです。
「プルミエジャケット」というデザインで、
ワンピースのようなコートのような着方ができるロング丈にしました。
黒のノクシカタは生成より少し張りのある生地で、幅が狭く
裁断の仕方もまた変わります。
プルミエジャケットはノクシカタ1枚からぎりぎり1着分を取っています。
クチの裏面を表にして、赤い糸の光沢が全体に玉虫のような素材感に。
アップだとこんな感じです。
美しいです!
下は、表面を使い、着丈幅に生地耳をはぎ合せてつくった「シュミゼ・ストリング」です。
これもまた、素晴らしい布力(ぬのぢから)にうっとりです。
写真が暗いですが、こんな感じの表情です。
点のような針目がまるでドビー織のように見えます!
この服は点数が少ないため、最後の1点は作品展後にお渡しとなるかもしれません。
皆さまにぜひご覧いただきたい手仕事ですので、ご了承ください。
黒のノクシカタでは、このほかスカートも作っています。
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こちらはかれこれ12年ほど前のノクシカタ服地の残りです。
使われている布、糸が今とは違って素朴さがあります。
でも、針目の細かさは今も同じくらいでしょうか?
下は今回の生産者と同じ地域で作られているポーチ。
柄と糸色を選ばせてもらって、参考までに少しだけ作ってもらいました。
この刺繍模様の背景に「クチ」があります。
ノクシカタの素晴らしさ、とても書ききれませんので
皆さま、どうぞ作品展で直接酔いしれてください!w
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まめしんぶん、あと1回ありますよー。
引き続きご覧いただけますように。
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