日本絹の里 2
しばらく間が空いてしまいました。
何でももうじき台風も来るそうな。
急いで(台風とは関係ないが)続きをどしどし入れていきまーす。
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「日本絹の里」の続きです。
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2
展示室には、古代からの養蚕飼育のため創意工夫された家や道具の模型がいろいろ。
なかでも家の造りはやはり面白い。
上州はほかに例を見ないくらい屋根のかたちが多様なんだそうです。
石を置く「板屋根」や、「草屋根」、寄棟造りの一部を切り落として採光を取り入れたもの、切り落とした部分に別の小さな屋根で覆ったもの。ほとんどは屋根裏で蚕を飼育するための工夫なんですね。
通風を工夫し屋根に換気用の越屋根をつけた江戸末期の「田島弥平旧宅」。
通風と温度調節を取り入れた蚕の飼育法を開発し広めた高山五郎氏の「高山社跡」。
これらは富岡製糸場とともに「絹産業遺産群」として世界遺産登録されたそうです。
もうひとつ遺産群に登録されたのが「荒船風穴」(あらふねふうけつ)。
上信電鉄の終着駅下仁田からタクシーでしか行けないような秘境らしい。
風穴とは岩の隙間から吹き出す冷気を利用したもの(いわゆる天然の冷蔵庫)で、ここに蚕種(蚕の卵)を補完することで、それまで1年に1回初夏のころにしかできなかった養蚕が複数回できるようになったのだそうです。
電気の冷蔵庫が出現する前に、こんなことをやっていたんですね!
蚕紙(さんし)というのも初めて見ました。蚕種がたくさん産み付けられた紙で、カレンダーの裏やお菓子の箱?のような厚紙です。
http://www.papermuseum.jp/guide/vol10.html
この蚕紙が、ひところの日本の輸出第2位だったそう。
世界から増産が求められた時代に、こんな創意工夫で質と量をぐいぐい上げていった日本人のセンスは、やっぱりすごいです。
荒船風穴、次回は是非行ってみたい。
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3
蚕は桑の葉を食べますよね。繭になる直前の最後の1週間に、それまでの5倍くらいの量を急に食べるようになるので、その頃になると養蚕農家の方々は夜通しのお世話になることもあるそうです。
昔は桑を育てながら天候や流行病に振り回され生産が安定しなかったそうです。
それで今では人工飼料も開発され、病気に強く繭玉が大きなものが交配されたF1種もあるそうです。
日本の蚕とヨーロッパ種を交配させたものが多いようです。
ぐんま200はすごく大きな繭玉で、艶があってきれい。人気がある種類だそうです。
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4
蚕を飼い繭を取るところまでが養蚕農家、取れた繭から糸を引き製錬(表面のセリシンという固い部分を除去)して、均一に撚りをかけるのが製糸場の仕事でしょうか。
いまではもちろんオートメーション化されている製糸業も、もっともニーズがあって利益も大きかった時代にはすべてが人の力で支えられていました。
アメリカではすでに機械化され力織機が中心だったので、強く切れにくい日本の品質が人気だったそう。アメリカでシルク? 学芸員さん曰く、
「まぁ、たいていはストッキングですよ。ナイロンのができる前の。すごく流行ってたみたいです。」
なーるーほーどー。
それは確かにシルクのニーズが高かった事でしょう。
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5
日本の蚕はずっと古代から野生で自力では生きていけないような栽培型(家蚕)。
その他世界中にはシルクを取ることができるいろいろな種類の昆虫がいます。
でも、こんなに種類があるとは!
インドのムガ、エリ、タッサーはマニスではおなじみですが、そうそう。インドネシアにもクリキュラという品種があります。
ジョグジャカルタの王室が育てて織物を作っている、黄金の繭とも呼ばれている種類です。
「ロスチャイルドヤママユガ」、って、笑った!
日本だけの品種もけっこうありますね。
そうそう、思い出しました。マダガスカルのボロセラ。
マダガスカル島に生息するボロセラはマツケムシの仲間で害虫であるが、この繭から作られた絹布は、死者を包む布として有名である。世界にはいろいろな野蚕が生息しており、家蚕にない特徴ある野生絹糸が生産されている。蚕が家畜化に伴って失われたもの、すなわち、大量生産に不向きな不揃いや個性などが、野蚕系の繭糸に残されている。それが大衆化されないシルクの魅力を創出し、希少性と環境保全にもからみ高付加価値をもたらしている。 「繊維と工業」Vol.63,No.9(2007)から抜粋
見たことはないのですが昔ブルータスに出ていてずっと記憶に残っています。
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シルクの歴史は5000~2000年。
ウールは紀元前3000年、シュメール人たちがすでに利用していたらしい。
植物繊維の麻は1万年以上。
ウールと植物繊維はまたいつか掘り下げるとして
シルクはいったいどうやってそこから糸が取れてきれいな織物にできることを見つけたのかが、不思議です。
長らく中国の宮廷内で秘密にされていた、それがだんだん外へ伝えられるようになった、という説もあるそうです。
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まだまだ奥深いのですが、絹のお勉強ここまでにします。
またいつか再開したいと思います。
翌日は真鶴へ向かいます。
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