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2013年7月23日 (火)

7月の日本 その3 しょうぶ学園

バス停を降りると、平屋の住宅、農家が並んでいました。

交差点には食品店が1件。

「菖蒲谷」という地名から、山の中のぽつんとしたところにあるんだとばかり思っていました。

しょうぶ学園の入り口は緑のトンネル。

門のようなものはなく、駐車場からそのまま施設へ。Photo



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敷地内はひとつの町のように、いろいろな形の建物が点在している。

施設長の福森伸さんいわく「建物はどれもばらばらなデザインだけど木々がその間をつないでいる」。確かに、木々が全体をひとつのネックレスのようにつないでいる。

マニスをやりはじめたばかりの頃、六本木のAXISギャラリーでの工房SHOBUの展示をたまたま知る機会があり、お伺いして以来、

NUIプロジェクトの土井初音さんからずっとニュースレターを送っていただいていました。

土井さんは、昨年寿退社されたとのこと。

来るのが遅すぎたかな、と、思いながら、この日私をずっと案内してくださったのは

土井さんの代わりにNUIの指導員として入られた壽浦直子さん。Photo_2

なんと、福森伸さんのお嬢さんでした。

素晴らしいバトンタッチです。

今や、大変な注目を浴びている工房SHOBUのプロジェクトですが、

長くなるので概略はこちらで。

http://www.shobu.jp/kobo.html

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知的障害者の人たちのための施設として、今からちょうど40年前にここを設立されたのが福森伸さんのご両親。

その後伸さんの代になり、工房のあり方を今のようなかたちに導いたそうです。

その素晴らしさのひとつは、「障害者を指導しようとしない」こと。伸さんは、度重なる障害者同士のトラブル、脱走者などの問題を「とじこめない」「押さえこまない」ことで乗り越えたそうです。

だから、門もないつくり。Photo_3

寮生活者の部屋も外からのカギはかけない。

工房では、職員(指導員とは呼ばない)は利用者(障害者の方々)にどんなものをつくるのかをゆだねる。

そうしたら、百人が百人、自分の世界のものをつくることを発見したそうです。そうして、数々の問題も次第になくなり平和でエネルギッシュな現在のしょうぶ学園に発展したようです。

専門的な事は分かりませんが、知的障害者の施設として、世界いちばんの発見ではないでしょうか。

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さてさて、早速、工房の見学です。

まずは「木の工房」から。Photo_4

こちらは、もともと体育館だった建物を使っているそうで、広くて天井も高い。

入ると手前は利用者の方々がテーブルを囲んでひとりひとり、自由なものづくりをしていました。

奥は木工所。

製材のための機械から木くずを吸い上げるダクトまで、とても設備が整っている。施設内で使われるテーブル、作業台、椅子、事務用書棚などはすべてここでつくっているそうです。

家具などの木工は比較的障害の軽い方と職員の方が中心。

ほかの皆さんはプレート、カトラリー、木のボタンなどをつくっています。Photo_5

木工は刃物をつかうので危ないことはないのかと思いましたが、利用者の方々は皆自分の仕事のパターンが定着すると黙々と安定して同じものを作りつづけるそうで、大丈夫なんだそうです。

こうしたモノづくりの中で、

作ったものができるだけ商品化して利用者の収入にもなるようにコーディネートするのも職員の皆さんの役割。

作ったものにさらに加工を加えたり、作るものの個性を商品の特徴になるよう下加工したり。

こちらは、かたちになったプレートに利用者のひとりで「ひたすら釘でぼつぼつ模様を入れる」方の作品。Photo_6

まるで、サゴヤシの木肌のような(ある意味バリでは見慣れている)テクスチャーですが、これがお手製とは。

利用者の方は、こうした自分のパターンに気づくとほぼずっと何年でも同じこパターンを作り続ける。

同じテーブルを囲んでいても、ほかの人からの影響はほとんど受けない。つまり、人のものと比較をするという事がない。

すごいことです。

私たちフツウに生きていると、人との比較でほとんど生きているようなものだから。

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お次は陶芸の工房です。

こちらでは、皆さんさらにそれぞれのものづくりをしていました。Photo_7


こちらの方は、ロブスターが好きなんだって。

それから、象さん。

嬉しそうに作ったものを見せてくれて。

確かに無数の象さんと、

時々ロブスターと思しき

細かいヒダヒダのペタッとしたものが並んでいる。

その次の方は、キューブ型に固めた粘土のパーツに

ひたすら削り模様を彫りつづけている。Photo_8

ブロック材のように建築資材に使ったら面白そうですが、

この方のものは今のところ商品化には結びついていないようです。

それにしても、たくさんあります。

手前にあるのは、陶のボタンですね。

マニスでも初期の頃つくっておりました。

懐かしい!

その下の方は、

自閉症とのことで外部の声を嫌ってPhoto_9

耳にイヤホン差しっぱなしなんだそうです。

作業場も他の皆さんとは離れた場所に

孤立する形で。

粘土を細く丸めたパーツをたくさんつくって、

それで何か生き物の根源のパターンのようなかたまりをつくる。

それも、無数に、毎日、ずっと。

すごいことです。

ピンボケボケ(!)でしたが、Photo_10

こちらの方のオブジェがこんな風に積まれているさまには圧倒されました。

人間は、何のために生まれてくるのか。

ひとりひとりは実はこれくらいみんな違うものを生み出すことができるのなら、

なぜ世界は皆同じような人間であろうとするんだろう?

……なんて、事まで考えさせられちゃいます。

さて、お昼の時間が近づいてくると皆さん急にそわそわ。

チャイムが鳴る少し前から職員の皆さんと楽しそうにジョークを言ったりしている。

しょうぶ学園の職員には、専門家は雇用されないそうです。Photo_12

皆、素人からはじめることがSHOBUのスタイルだとか。陶芸工房でも、陶芸家ではない方が採用されここではじめて陶芸に触れることからはじまるらしい。

利用者の皆さんに教えてもらいながら、仕事を覚えていくのだそうです。

機知に溢れています。

無垢なイマジネーションとフツウに育った人のイマジネーション。

創造のバトルですね。

驚きの連続です。

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つづきます。

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