上海&蘇州へ その1
マニス東京事務所移転前の慌しい週末、無理を言って上海と蘇州へ行かせてもらいました。
中国で以前から手仕事を中心に服作りをしているというグループに会うためです。
紹介者であり同行者は江崎正代さん。
最初のきょうは、蘇州のおはなしです。
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スイカなおもてなし
最初から脱線します。
いえ、最初から最後まで。これ無しには語れません。
6月の中国はスイカの季節なんだということ。一生忘れないでしょう。
上海浦東空港に到着後、車で3時間近くかかって着いた蘇州のとある事務所。
お茶を出された背後でさくさくと何かを切る音。
「なんかスイカを切っているような気がする……」、と江崎さん。
まもなく出てきた、これで一皿一人分。
「これ全部食べないと話がはじまらないのよ」って。
まじ? 写真は、ええと、これで3切れはもう食べているんですけど。
渋滞に巻き込まれ遅れて到着した我々。早く話を始めないと日が暮れちゃう!ってことは、迷ってないで早く食べるべき。
何がともあれ、どこへ行っても、この赤いものが先に出てくるみたいなのです。
(帰りのヒコーキの中でさえも!)
翌日。蘇州刺しゅうの専門店へ伺ったとき。
今度は何と、洗面器!!!
お店の人が「どうぞ」って手渡しで下さったのを、ついつい後ずさりしてしまったら、店主の王さんが「だめだよそんな出し方」って。ま、出し方もすごいけど、私はどちらかというとスイカそのものに後ずさりだったんです……。
そして、夜だってありましたねぇ。
今度はホテルにヤマモモのお土産が。
あ、でも、これ、高知のお土産にいただいたことがあります。
見た目はベリー系ですが梅のような桃のような。すごくおいしいもの。
中国のは少し大粒。
「収穫期が1年の中でたった1週間しかなくて、摘んだ翌日にはもうお酒のような匂いがしてきてしまうので、その日のうちに食べること!」、って、そんなぁ~~~。
ちなみに最後に手土産もありまして、それは桃の箱詰めだったのですが(!)、それはさすがに持ち帰ることはできず、残念ながら本気で辞退でした。水蜜桃というすごく珍しい桃だったみたいです。はぁ、もうそれは気持ちが(お腹が)いっぱいで、写真すら撮れませんでした。
……当分のあいだ果物なしで生きられます。
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蘇州刺しゅうと綴れ織
最初から関係のない話ですみません。
ここから先が布のはなし。
蘇州2500年の歴史の中で今でも作り続けられているという両面刺しゅうと綴れ織。
その専門店を案内していただきました。
シルクの糸の撚りを解いて解いて、蜘蛛の巣のような光が当たらないと見えないくらい細い糸で刺していく。
紗のようなごく薄い生地に絵画を描くように。
しかも、これは裏表のない両面刺しゅう。
この高度な技術はおもに衝立に使われていたそう。
金魚のものは、今ではここまで細かいものを刺せる職人がいないというミュージアム級。
向こう側の壁が少し透けて見えるのがお分かりでしょうか?
半透明な生地に半透明な刺しゅう。
淡い紗の生地のなかに本当に金魚がゆらゆらと泳いでいるかのような、すばらしい表現力です(ガラスの反射が残念な写真です……)。
それでもゴッホよりは細かいです、刺しゅうですから。
これらは工芸、つまり誰々さんの作品ということではなく作り続けられているところもびっくりです。
蘇州にはもひとつすごい技術があって、それが綴れ織です。
刺しゅうの描写力に負けないくらい緻密です。
蘇州綴織でつくられた帯が日本で一時期流行していたそうで、下が当時つくられたもの。
カシミール織のアンティークレベルです。細かいアラビック柄の中に濃淡があります。
黙って見せられたら、これが中国のものとは思わなかったかもしれません。写真が小さくてごめんなさいです。
こちらは裏はケバケバなので、織りあがった後に丁寧に糸の余りをカットするのだそうです。
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蘇州では、あの有名なお庭もお寺も見ることなくスイカと刺しゅうと会議だけ。
いえいえ。ちゃんと中国流のもひとつのおもてなしがありましたよ。
続きはまた明日!
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