岩立さんのミュージアム
日付変わったので昨日13日(金)、朝日新聞にも掲載されました。
岩立さんのミュージアムへお邪魔しました。新聞掲載からのお問い合わせ電話がひっきりなしに鳴るなか、ミュージアムの中央にたたずむのは紀元前1500年前のプレインカのはぎれ。
岩立さんは若い頃、染織作家として活動されていたそうです。その頃に出会った布がこれ。3000年も前にインカにあった布は、つづれ織や絞り染めなど。今もつくられている染織とまったく同じなのです。岩立さんはその古いはぎれに出会ってから5年間、それがどんな繊維でどう織られ染められているのかを研究されるために没頭されたそうです。その後インドをはじめ世界中へ。生活のなかで使われ続けている布を探して数十年、コレクションを集められてきたそうです。
3000年も前の布が、仮に国立博物館にあったとしたら。それは確かにミュージアムピースで古くて珍しいもので。だけど、それを個人で所有しつつ独自の収集に人生をかけてこられたというそのものを見ると、何て迫力のあることでしょう。
背景というものが、これほど説得力のあるものだったことも今までありませんでした。
布の好きな方には必見であることはもちろんですが、今大切なこと、今までもこれからも不変のものにこんな風に出会えることは本当に本当にありがたいことです。岩立さんにはもっともっと教えていただかなくてはならないことがたくさんありそうでワクワクします。
今日はお目にかかった折、こんなことを話してくださいました。
「今もつくられている布の手法が3000年も前にあったということ。それは人間にとって共通した“いいもの”だから変わらずに続いているんだと思うのよ。本当のものってこうして残って続いていくんです。だから新しいものをつくらなきゃ、という今のつくり手の気負いは実はこうした長いスパンで見てみるとあまり重要なことじゃないかもしれないと思う。本当の“いいもの”ってそんなに簡単に生まれるものじゃないんじゃない? 」
「私たち世代は今世界共通で不変の定番があるってことに気づいている世代かもしれない。い。プレインカにあった布とインドの今の布が同じ。文化が交流したという根拠のあるなしよりも、人間の中にある本質、根拠みたいなものなんじゃないかと思うの。」
本当はもっと魅力的な表現で語ってくださったと思うけど、私の解釈でこういう言葉になりました。人間のイマジネーションのDNAみたいなもの。布を通して、すごい発見をされている岩立さんです。
こんなお話を聞きながら、隣でご主人のジョージさんが全然関係ないことでジョークを飛ばしていたりする。うるさいなぁ、みたく岩立さんはあしらうけど、ジョージさん、うちの主人となんかかぶっててすごいです。ズレ方がそっくり。これ、やさしさ?
岩立フォークロアテキスタイルミュージアム。初回の展示は1月30日まで、期間中の木~土曜日のみのオープンです。自由が丘駅から徒歩2分。DEES HALLでもフライヤーを置いていただいていますよー。
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