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2009年7月21日 (火)

ゆりちゃんの自然生活

きっかけはバリに2,3ヶ月前に届いたはがきです。

ゆりちゃんは、20年位前にパリで(バリじゃないよ)で知り合ったフル友で今マニスの事務所が西麻布になっているのも元を正せばこの人のお陰。私が立川の外人ハウスに住んでいたとき彼女が西麻布にマンションを購入し、それまで使っていた西麻布のアパートを引き継ぐことになったのがきっかけです。

この人、やれば何でもできる人でフランス語やれば通訳に、絵を描けばマドンナの海外公演記念Tシャツに、ボサを歌えばプロ並みに、料理をすればシェフ並に。

そうこうして結婚後しばらくして都心の西麻布からは一転、ご主人の七田さんと那智勝浦で自給自足生活をはじめました。のち、土地を買って今の栃木県中三依温泉、平家の落人の山あいへ。通算11年の自給生活。

今じゃ4人も子供がいて、大変な生活ぶりらしい。

そろそろ様子見に行かなくちゃ。

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鬼怒川温泉と尾瀬との間にある野岩鉄道の無人駅、中三依温泉駅。本当にすごい山あいです。鬼怒川温泉辺りも確かに風光明媚な山あいだけど、この辺まで来ると本格的。山しかない。木しかない。Photo_13

そんなふうなところに住んでいるんだろうな、と想像はしていたけど。私たちだってバリの中でも山あいの絶壁のようなところに住んではいるんだけど。

中途半端じゃないんです。

山あいというのは、周辺全部が山であり、そのせいで天気も悪い。

着いたらやっぱり雨でした(これは私のせいじゃないと思います!)。

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買った土地の木を使って建てたという今の小さな母屋は1階がキッチンとダイニング、2階が勉強スペース兼寝室。Photo_14

6人家族にはかなり小さなスペースだからか、現在大きな新母屋を建てている途中でした。昨年ご主人と大工さんで何とか基礎を。今年はついに棟上、木材は旧民家からもらった廃材と近所の木材。普通家を建てるとなると木材がとても高価だけど、ここでは木がほとんどタダなんですって。

木が鬱蒼と茂るのは、それだけの気象条件なんだと思う。さっき書いたように、畑をつくって自給生活を目指しても効率は求められないらしく、冬の間の食料はやはり他から購入しないといけない。そうそう簡単じゃないのです。

野菜が取れなければ、ヨモギのような雑草を摘んで。薬草から消毒液をつくり、ハンドクリームをつくり、無添加の小麦は外から購入してパンを焼いて。お金に頼らない生活はなかなか工夫と苦労が要ります。

近くには清流が流れていていつも水の音がしています。Photo_15

子供たちが農業や家事の人手になるのは当然かもしれません。暮らしていくための毎日の仕事は、すぐそこにあって、子供だろうと担うことに。

エコとかオーガニックとか。そんな流行り言葉は吹っ飛んでしまいます。だって、エコもオーガニックもお金で買っている私たち。それと正反対なのですから。

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お昼ごはんに呼ばれました。

今週はウフからやってきた外人ボランティア同居人のふたり(イタリア人のクラウディオ、日系カナダ人のマリコ)がいるので七田家6人と私たち客人併せて10人。

ダイニングスペースは狭いからと、棟上が終わったばかりの新築に板を並べてこんな感じ。Photo_16座っているところは角材を並べてますのよ。

差し入れに持ってきた骨付きソーセージは、やかんを載せていた薪ストーブにフライパンで。焼けるのを待つ子供たち。ソーセージなんて都会の子にとっては普通だけど、ここの子達は匂いからして反応している。

ウフのふたりが手伝ったお昼のごちそうは、じゃがいもと油揚げの煮物、ヨモギと豆腐のサラダ、インゲンの煮物、なすの煮物、漬物いろいろ、冷奴などなど。ほとんどが種から育てた野菜の。ごはんは玄米と小豆を炊いて、すりごまをふりかけに。

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ごはんの後、ウフのマリコが不思議なまあるいものを持ってきた。カバーを外すと、ちっこい円盤みたいなメタル製。Photo_17

これが楽器なのです。

古典音楽のような単調の旋律で、指ではじくと繊細な澄んだ音がする。スイスの楽器らしい。

マリコは日本に来て6ヶ月、血筋は日本人ハーフだけど育った環境はカナダのバンクーバー島ヴィクトリア。バンクーバーに今も残るイヌイット系マイノリティで、日本にはもういないかもしれないけどイヌイットと繋がりを持つアイヌのような顔立ち。

ここに来たのは前日で、宮城からママチャリで来たとか。逞しい。七田家の母屋にはとても入りきれないから、空き地にテントを張って泊まっているらしい。

ママチャリでこんな大きな楽器を背負って来たんだって。テント。何て逞しいのでしょう。母屋にだって蜂やら蟻やらぞろぞろ。屋外は狸だって熊だっているんだそうですから。

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後、母屋でゆりちゃんの2番目の子チサちゃんが自作のお人形を見せてくれた。Photo_18

きっと着古した服などから少しずつ作っているんだと思う。めがねをかけているのがお母さん。背高のっぽはお父さん。私の子供の頃だってもっと自由に溢れるような材料を使っていたと思う。

本当に限られたお金と物を使う生活。

チサちゃんたちにとって今の生活は大変だと思うけど、その意味はきっと知っていると思う。今ってお金さえあれば本当に簡単だから。お金を使わないで物をこしらえるということがどれほど難しいか。

七田家の子供たちは、きっと新しい。

うちの子供はバリで自然の中で悠々と育っているけれど、それなりに生活が便利だからなかなか教えにくいのです。

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