直島ベネッセハウス
直島ってご存知でしょうか?
私にとっては長らくあこがれの地でした。
アルネに載ってた草間センセの作品や、森美術館で見た杉本博司の構想した神社があり、何より最も尊敬する安藤忠雄氏が手がけたプロジェクトのある島。ついに上陸できるんです。ええ。うれしくってゼンゼン眠れませんでしたねぇ、前日おろか2日前から。
スケジュールはオフシーズンの日帰りとあって、1日6便しかない船でまた高松まで戻り最終便で羽田に、というもの。いっこでも間違えたらタイヘン! この複雑な時刻表と経路を組み合わせ、セッティングしてくれたのは他でもないけろちゃんです。ほとんど自分が行った気になってシュミレートしてくれたのです。もう吉祥寺方向に足向けて寝られません……。
ところが、雪雲。波がだっぷんだっぷん、船は横揺れ。やっぱりなぁ。前日までの天気予報じゃ全国的に雪ですから。でもこの日はしっかり着膨れ、寒さならだいじょーぶ。
しかし直島に近づいてくると、なんとそこだけ晴れている。私、日ごろの行いいいんでしょうか? いや、本当に、そこから先はびっくりのお天気に恵まれました。但し強風で吹き飛ばされそうになりながら。
船を下りて早速、町内バスのすなおくんに乗り込み、まずはベネッセハウスを目指します。ここは小高い丘陵の上。素晴らしい景色。非常に、クリーンです。海も陸も。
でも、安藤忠雄さんがプロジェクトの視察の為最初に訪れた88年、ここは金属の精錬工場があって、有毒ガスの影響で島内ほとんどはげ山同然だったんだそうです。そこに1日1本根気強く木を植えて、緑がよみがえったのですって。信じられません。だって、本当に美しいのです、自然が。砂浜はホワイトサンド。海辺にありがちな雑然としたお土産やも売店もありません。オフシーズンだから影を潜めているのでしょう、ということもあると思う。でも、見栄っ張りな看板も広告塔もありません。もしかしたら、そういうものを島内で規制しているのかもしれません。
あ、高松のほうを見やると、ほらね、あっちは雪ですきっと。
さて。ベネッセハウス。
……というくらいだから、うちの子もお世話になっている「こどもちゃれんじ」のベネッセがつくった私設美術館なのでしょう、というくらいにしか思っておりませんでした。
確かに私でも知っている超有名な現代アーティストの作品がずらり。そのひとつひとつが、とてもしっくりといい場所に収められている。その調和は見事でしたが、きっとベネッセ流コレクションを安藤氏がうまく空間にアレンジしたんだろうって思ってました。
ところが、どうやら建物が先で作品が後。しかも、それぞれのアーティストを招いて好きな場所を選んでもらい、そこに自身のアイディアで作品をつくってもらうというやり方なのだそうです(お見受けするに全部ではないと思うけど)。
ヤニス・クネリスという人は、建物の壁にポトスのような葉がびっしり広がっているのを背景に、海苔巻きみたいなパターンのオブジェをたくさん積み重ねてもうひとつの壁面をつくっています。鉛の板の間に古い生地や器、流木などを一緒に巻いたもので、海苔巻きのすき間から光が漏れ、背面の緑の壁と調和していて意外な和みの空間。でも、この方はアイディアはたくさんあったけれど、実際にずいぶん迷った上でこの場所でこの海苔巻きに決めたのだそうです。
館内は一切撮影禁止とのことで、景観の写真しかご紹介ができません。でも、その方が見に行く人にとってはきっといいと思います。私も、もしどんな作品がどのようにある、ということをビジュアルであらかじめ知ってしまっていたら、こんなにおもしろがったり感動したり出来なかったことでしょうから。これ、案外大事なことかも。
ちなみに、リチャード・ロングやジョナサン・ボロフスキー、フランク・ステラ、イブ・クライン、ウォホールなどなど、ぞろっとお目にかかれました。ポンピドゥみたいに。
直島シリーズ、まだ続きます。
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