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2009年1月18日 (日)

直島・家プロジェクト

昨日でtoko manisのプチセール&フォーマル・オーダー会が終了しました。

今回は遠方から来てくださったお客さまも多くて、楽しく賑やかな3日間でした。皆さまにお買上げいただいた服が長く活躍できますように。フォーマルでオーダーいただいた方にはマニス最大限のお仕立てをさせていただくつもりです。お楽しみに!

さてさて。

高知&直島シリーズが長くってごめんなさい。きょうもまた、です。はい、でも、きょうで最後です。Photo

・・・・・・・・・・・・・・

町営バスすなおくんに乗って、本村地区へ。

人口3500人という静かな島で漁港を中心に古くからある集落が本村とのこと。町並み保存なのかどうかは分かりませんが、集落全体のほとんどが焼杉板の黒い壁。家同士にすき間ないつくりで細い路地に統一感があるとても美しい集落です。Photo_3

家々の門の中には小さいながら内庭があります。

小高い山の上には海の神様を奉る神社、そのふもとにはお寺が。 家プロジェクトは本村地区の古い民家の中に現代アートの作品を点在させています。

まずは「かどや」へ。

敷地内は撮影不可のため写真は今回外観だけです。

Photo_4 97年にはじまった家プロジェクトの第一号がここ。上から3番目の写真です。

高齢化がすすんで空き家が目立つようになってきた本村から「家屋を譲りたい」という方が現れたことから、直島アートプロジェクトの中にこの地区も組み込まれることになったらしい。

かどやには宮島達男というアーティストが抜擢されて、この家に、入ってびっくりな作品を考案。制作に当たっては集落の人々も参加してアートと文化と地域が結びつくきっかけにもなったそうです。すばらしいことです。Photo_5

お次は山の上の「護国神社」です。杉本博司氏の作。今回見たかったもののナンバー2です。

この神社が古くなって改修が必要、となったときに写真家である杉本氏が抜擢されたのだそうです。神社にこの人、という発案も大変クリエイティブ。

杉本氏の活動は写真表現が中心ですが、恒久的なもの、太古からあって今もずっと先の未来にも同じくあるはずのもの、という共通の思いが感じられてとても実験的です。その点で、現代アートの中でも重要人物だと思う。

右上の写真の氷がだんだんになっているようなものは、社本殿の正面に据えられた階段です。写真は真横から撮っています。レンズなどに使う光学ガラスを使っているそうでとてもとても透明で美しいものです。

神社って本殿の前に若干の空間があって、その前にお賽銭箱というのがPhoto_6フツウでしょ。

でも、古い神社は古墳と関係があるということで本殿の地下を試しに掘ってみたんだそうです。そうしたら、地階に石室のような形が現れたらしい。石室の真上にあたる場所には24トンの1枚岩をかぶせ、光学ガラスの階段はその石室のような地下までつながってるのです。

地下は幅がとても細い通路を通って入ることが出来ます。 石室内には泉が沸いていて、その水面と本殿がガラスの階段を解してつながっているというものなのです。大昔の空間感覚を現代のものでシンプルに再現した素晴らしいプロジェクトだと思います。

写真は石室の通路から瀬戸内海が見晴らせる外に向かって撮ったもの。何だかとても不思議な感じでしょ? 真っ暗な狭い石室から出るとそこは瀬戸内のブルーが輝いているんです。

次は「南寺」です。Photo_7

ここは古い民家をつかったものではなく、町並みの雰囲気を生かして安藤忠雄氏が設計したもの。もともとお寺があった敷地にジェームス・タレルの「バックサイドムーン」という光の体験アートのパーマネント展示として新築されたものです。

全く光に閉ざされた暗がりの中に入っていく。はじめはまばたきしても目を閉じてまた開けても真っ暗という非日常的な空間に不安な気分。でも、1,2分すると実はぼんやりとした照明で前方に何か別の空間が見えてくるんです。真っ暗闇と微量のPhoto_8光の空間。すごく刺激的な体験です。

最後の写真は「はいしゃ」です。

もともと歯医者さんだったという建物を外観から中までアソビ感覚いっぱいに大竹伸朗氏がリメイクしたもの。

左よりの長~いパイプは潜水艦のイメージで建物の中にあるちっこい「覗き穴」から覗くと、ずっと遠くにある景色がパイプサイズに小さく切り取られて見えるというものです。

このほか見きれなかったもの、知らずに通り過ぎたものも多々ありましたが、すなおくんの運行時間と14時20分発の高松行きフェリーに乗るべく、本村からバイバイしました。

これら美術館エリアから家プロジェクトまで、直島を現代アートで再生させようという発起人かつスポンサーはベネッセアートサイトとのこと。

ベネッセというと、今や日本では教育方面で旅行業界のHISのように唯一無二な存在かもしれません。巧みな手法で大層多くの方が通信教育教材を買われていると思います。でも、そのビジネスがこんな風に行政ではとても考えつかないような後世に残りそうな文化プロジェクトを試みているのだったら、これはいいお金の循環かも知れないなと。

ところで私はきょうの便でバリへ。

バリスタジオは現在大雨の影響で電話線が復旧するまで1ヶ月とのこと。ブログアップが次回いつになるやら心配ですが、なるべく溜めないようにしないと! 皆さまお元気でお過ごしください。

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2009年1月17日 (土)

直島・地中美術館

ガードレールにつかまっていないと吹き飛ばされそうなくらいの強風。ベネッセハウスを後にして、地中美術館へ向かいます。

ここは入り口からカメラは預けることに。そういうで訳またきょうは写真がありません

何だか、不思議な雰囲気

「ここはちょっと特殊な美術館で…」と、謎めいた説明を受けた後バス停&チケット売場の建物から少し歩いたところにある本棟へ。

はい。確かに。地中美術館というだけあって、地中のようです。ブローシャーにある写真も建物に外観がなく何だかいろんなカタチの屋根だけです。

安藤先生の、左脳で考えていたらとても難しい右脳でしか受け止められなそうな、パターンのないトリッキーなアプローチを経て、現れたのはクロード・モネの部屋です。

パリのオランジュリー美術館のモネの部屋のように周囲をモネの睡蓮が取り囲む。でも、作品はたった4点。広々とした空間に小さく浮いて見えます。オランジュリーのような迫り来る360度ではないのです。でも、もしかしたらオランジュリーを越えているかも、と思いました。照明器具を一切使わず、自然光を間接的に使っているせいか、青から緑、紫の微妙な色彩がまるで宗教のように染み渡ってくるのです。絵以外の一切は一切、白。

館内案内係の人に早速質問。

「額も白いのはオリジナル?」「はいそうです。大理石で出来ています」

額が白の大理石ですよ。空間はライトアップなし、自然光で間接光。すべて白です。絵は色彩とともに見事に浮かび上がって空間に作用しています。床は白くて小さなタイル状。内とも外とも捉えられるあいまいさが何とも微妙。靴を脱いでスリッパに履き替えて入るのです。

お次は、光の芸術家ことジェームス・タレルの部屋です。

真っ青な光の中に見学者が入っていく。体験する芸術作品です。オープン・フィールドというタイトル。

私はこれ、15年位前に都内の美術館で見たことがあるので分かっていましたが、一般の見学者の人にとっては「なにコレ???」って感じのようでした。体験芸術って、うんちくのないまま感じるままの不思議さがインパクト。この目の錯覚を使ったシンプルなアートがこうした自然豊かな島の中でパーマネントに展示されるのはとてもいいことだと思います。

もうひとつの部屋はウォルター・デ・マリアというアーティストの部屋です。ここは一見教会堂のようであり、確かにどこか神様との接点のようでもあり、でもとても抽象的な考えさせられる空間です。数学的比率を取り入れ、壁面に金色の三角柱、四角柱、五角柱が何らかのパターンで配置され(それが一見パイプオルガンのようでもあり)、空間の中央に花崗岩でつくられたという真球(直径2.2mの球体ながら誤差1mm以内という特殊加工)がで~んと居座る。どうやら、この何かの理由において正確な空間配置がポイントのようす。

文字だけで説明するのに難がありますが、実際はとてもシンプルで美しい。

ほとんどの人に意味不明かも知れないけれど、実際この球体には何かしら引力のようなものを感じるし、作者が意味についてノーコメントだけあって創造性をかき立てられるのです。

地中美術館は、大まかにはこれらの3つの空間だけしか展示していません。強いては安藤忠雄さんの建築自体も作品と考えているもよう。非常にミニマムではあるけれど、こんなにそぎ落とし厳しくやさしく感性の高い空間にはめったにお目にかかれないだろうと思う。

直島は本当に遠くて不便だけど、これは日本の誇りのひとつですよきっと。ぜひひとりでも多くの人にこれを見ていただきたいと思う。歴史的に名高い古いお寺を回ることも大事だけど、今を生きる日本人にとって、もうひとつ別の側面でエネルギーを与えてもらえるような気がします。

さてさて。直島談はもう少し続きます。

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2009年1月16日 (金)

直島ベネッセハウス

朝一番の四国汽船に乗って、いざ直島へ!Photo

直島ってご存知でしょうか?

私にとっては長らくあこがれの地でした。

アルネに載ってた草間センセの作品や、森美術館で見た杉本博司の構想した神社があり、何より最も尊敬する安藤忠雄氏が手がけたプロジェクトのある島。ついに上陸できるんです。ええ。うれしくってゼンゼン眠れませんでしたねぇ、前日おろか2日前から。

スケジュールはオフシーズンの日帰りとあって、1日6便しかない船でまた高松まで戻り最終便で羽田に、というもの。いっこでも間違えたらタイヘン! この複雑な時刻表と経路を組み合わせ、セッティングしてくれたのは他でもないけろちゃんです。ほとんど自分が行った気になってシュミレートしてくれたのです。もう吉祥寺方向に足向けて寝られません……。Photo_2

ところが、雪雲。波がだっぷんだっぷん、船は横揺れ。やっぱりなぁ。前日までの天気予報じゃ全国的に雪ですから。でもこの日はしっかり着膨れ、寒さならだいじょーぶ。

しかし直島に近づいてくると、なんとそこだけ晴れている。私、日ごろの行いいいんでしょうか?  いや、本当に、そこから先はびっくりのお天気に恵まれました。但し強風で吹き飛ばされそうになりながら。

船を下りて早速、町内バスのすなおくんに乗り込み、まずはベネッセハウスを目指します。ここは小高い丘陵の上。素晴らしい景色。非常に、クリーンです。海も陸も。

でも、安藤忠雄さんがプロジェクトの視察の為最初に訪れた88年、ここは金Photo_3属の精錬工場があって、有毒ガスの影響で島内ほとんどはげ山同然だったんだそうです。そこに1日1本根気強く木を植えて、緑がよみがえったのですって。信じられません。だって、本当に美しいのです、自然が。砂浜はホワイトサンド。海辺にありがちな雑然としたお土産やも売店もありません。オフシーズンだから影を潜めているのでしょう、ということもあると思う。でも、見栄っ張りな看板も広告塔もありません。もしかしたら、そういうものを島内で規制しているのかもしれません。

あ、高松のほうを見やると、ほらね、あっちは雪ですきっと。

さて。ベネッセハウス

……というくらいだから、うちの子もお世話になっている「こどもちゃれんじ」のベネッセがつくった私設美術館なのでしょう、というくらいにしか思っておりませんでした。

確かに私でも知っている超有名な現代アーティストの作品がずらり。そのひとPhoto_4つひとつが、とてもしっくりといい場所に収められている。その調和は見事でしたが、きっとベネッセ流コレクションを安藤氏がうまく空間にアレンジしたんだろうって思ってました。

ところが、どうやら建物が先で作品が後。しかも、それぞれのアーティストを招いて好きな場所を選んでもらい、そこに自身のアイディアで作品をつくってもらうというやり方なのだそうです(お見受けするに全部ではないと思うけど)。

ヤニス・クネリスという人は、建物の壁にポトスのような葉がびっしり広がっているのを背景に、海苔巻きみたいなパターンのオブジェをたくさん積み重ねてもうひとつの壁面をつくっています。鉛の板の間に古い生地や器、流木などを一緒に巻いたもので、海苔巻きのすき間から光が漏れ、背面の緑の壁と調和していて意外な和みの空間。でも、この方はアイディアはたくさんあったけれど、実際にずいぶん迷った上でこの場所でこの海苔巻きに決めたのだそうです。

館内は一切撮影禁止とのことで、景観の写真しかご紹介ができません。でも、その方が見に行く人にとってはきっといいと思います。私も、もしどんな作品がどのようにある、ということをビジュアルであらかじめ知ってしまっていたら、こんなにおもしろがったり感動したり出来なかったことでしょうから。これ、案外大事なことかも。

ちなみに、リチャード・ロングやジョナサン・ボロフスキー、フランク・ステラ、イブ・クライン、ウォホールなどなど、ぞろっとお目にかかれました。ポンピドゥみたいに。

直島シリーズ、まだ続きます。

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2009年1月15日 (木)

高知日記3

スミマセン、まだまだ高知なんです。

日曜日の午後はバティック&雑貨バイヤー、西内さんとその息子さんに高知を案内していただく。Photo_11

西内さんはバリで雑貨屋さんをしている知人から紹介されて依頼、バティックについて熱く語り合える間柄に。須崎にお住まいでこの日は高知まで出てきてくださる。

いくつかギャラリーを案内いただいた後、私のリクエストで五台山にある県立牧野植物園へ。

午前中にハマッた朝市、午後は植物園。なかなかの取り合わせかとひとりごち。

牧野植物園は植物園というだけあって、敷地内の植物が見ものなのだろうけれど、こんなに寒くちゃ見られません。見よPhoto_12うと思っても植物さんたちもほとんどが越冬中。

でも、展示のための本棟が素晴らしいのです。

自称建築オタクである私は是非見てみたかった円を取り囲むようなドーナツ型の屋根。

内部のつくりは一見番傘のような骨組みです。そして、木造。ぐるりと湾曲した回廊のようでいて、展示も見やすくとても心地のいい空間。

日本的なシンプルな外観といい、山の頂上の起伏を生かした曲線美といい、地方の植物園の建物としてこんなによく出来た建物は他にないかもしれません。

牧野富太郎という植物学者の研究と生涯にも惹かれつつ、写真ではなく描き続けられた膨大な植物図の細かさややさしい色づかいにもしばし感動しました。

その後、高知の商店街へ移動。Photo_13

西内さんが昔から歩いているお気に入りのお店いろいろ。

まずはアーケード。ひろめ市場という屋台村のようで市場のような美味しく楽しい市場へ。ここは土佐のお土産的食料品を売り、いろんな食べ物屋さんが軒を連ね、その間にたくさんのテーブルが並んでいて好きに飲み食いできるところ。ちょうど成人式で振袖の若いお譲さん多し。しかし、私の目はやっぱり賑やかに楽しくおいしい物を食べていらっしゃる土佐っ子の皆さまにクギ付け。これまで台湾や韓国やその他イロイロ、アジアの屋台村に魅了され続けてきましたけれど、ひろめ市場、何て楽しそうなんでしょ! 素晴らしい。こんなオーラはちょっとそこいらにはないかも!

お次は西内さんのお気に入りカフェへ。Photo_14

「ラメール」というお店です。マッチもカードももらえなかったので(ずっごく混んでいたんです)、住所も電話も分かりません。

とにかく、とても人気。コーヒーが美味しいことはもちろん、トーストがかなり評価が高いらしい。この日、ランチで胸いっぱいだった私は一口だけチョバさせていただいただけですが、う~~~ん、奥深い! アズキをたっぷりサンドしたもの。トーストのさっくり感とアズキのモッチリ感が絶妙でした。

店内では西内さんのお知り合いに遭遇。日曜日の午後にお茶する仲良し二人組です。会った途端、話は健康管理から旅行からお孫さんのことなどなど、とまりません。

カフェも喫茶店も、高知では女性の王道なんですって。イケてますね!

この日は夕方に高松へ移動。翌日は直島へ行きました。

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2009年1月14日 (水)

高知日記2

高知3日目。

大変お世話になったじぎじぎさんとお別れして、フリーの1日です。Photo_5

ちょうど運よく、日曜日。これは大変運がいい。なぜって、高知で週1回開かれている「朝市」が毎週日曜なんです!

ホテルをチェックアウトして早々、高知城まで延々続く「朝市」見物に。

はじめはまだ時間が早かったせいか人は少なかったのですが、11時近くなるとあっという間にたーくさんの人が。市場というだけあって、さすがの活気です。Photo_6

それよりも何よりも。どうです、この美味しそうなおみかんたち。買う前にもうおみやげとしていただいていたので買いませんでしたけど、もう、いい香りがぷんぷん。ゆずにいたっては、ゆずシロップをしぼった皮も売られていて、どっさり入ったのが150円。これで砂糖漬けピールも作れるし、お風呂に入れてもいいし。いいですね~。

タケノコ、安い! 水煮の小ぶりのもの4個で500円

おっと、春の知らせふきのとう。根と葉がついたの150円Photo_8

大根は小ぶりでツヤツヤ、おいしそう。赤いほうは1個50円

あっ、しいたけ。一ざる200円

どうする? やっぱり買わずにいられないでしょう? ……、と、自問自答。結果、トーゼン端から買いまくり。して1000円分も買うと、もう背負っては帰れない重さに!

でもまだまだよ~。Photo_9

色とりどりのあんこもち1個50円だって、京にんじん4本100円だって、鰹の炊いたのだって、諦めませんからね!

宅配便で送ることもできるようでしたが、それをやってもらうにはいささか時間がなく欲張って買ったもの全てをスーツケースに。ええ。コロコロがついていさえすれば! 

満足満足。これでおみやげはばっちりよ!

まめたびというより独り言。Photo_10

ところが、シアワセ~なお買いものの途中にバリから電話が。

何でも「昨日の大雨で敷地の塀が地すべりで壊れた」らしい。まぁ! 

近くで電話のやり取りを聞いていたおばちゃんが「どうした?ダイジョウブ?」って心配そうに聞いてくれた。

高知は初日と打って変わって寒~い朝。シンパイだけど、きっとダイジョウブ。何しろいつだって大げさなうちの主人が言っていることですから。

高知弁では何ていうの? ダイジョウブやキ?

つづきはまたつづく

 

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2009年1月13日 (火)

高知日記1

高知のギャラリー「じぎじぎ」さんでのお立会いを終えて、昨日東京へ戻りました。

写真がたくさんありますので、何回かに分けて少しずつご紹介します。

きょうはまず高知日記。Photo

高知に着いたその日、じぎじぎさんのお向かいにある「十一屋」さんにてお昼をいただきました。

看板なし。教えてもらわなければ通り過ぎちゃうはずの地味~な外観。電柱に「十一屋ここ」としか書いてないんです。ところが入ると中は人でぎゅうぎゅう。このギャップ! じぎじぎオーナーの石川さんいわく「とにかくダシがおいしいお店」。

人気は中華ソバ、うどん各種らしいが、お店の人にいろいろ攻め(!)の後、季節限定の「蒸し寿司」をいただくに。

せいろで蒸したちらしずしは出来たてで具がぷりぷり。ごはんはほくほく。味はしっかりめ。お吸い物は見た目はシンプルだけど、う~ん、すっごくすっごく奥深い。

「おでんは自分で取ってね」と言われ、テーブルの横でぐつぐつおいしそうな湯気を立てているものをひと串取ると、うわ、でかい。しかも1串120円ですって。大きさに見まがわず味はこれまたしっかり上品。Photo_2 看板のないお店の中でこんな食べ物が食べられるなんてねー。うひょひょひょ。

あんまりおなかが空いていなかった割にあっさり食べつくし、お代は? と聞くと、「じぎじぎさんからあずかってますから」って。なんてったって、粋です。もう、すべてが。

石川さんからはその後も高知のおいしいものをお菓子からおみかん、お茶にはじまり鰹のたたき、美味しいお酒と、もう、すっかりおもてなし頂いちゃって。本当に本当にお世話になりました。

ああ、もう、ただひたすら幸福に食べさせていただきました。Photo_3

そして思うものです。いっそ高知に住んでしまいたい!

さて。

先日文字だけでブログアップしましたが、滞在は高知でいちばん人気のセブンデイズホテルに泊まらせていただきました。

朝食はこんな感じです。おしゃれです。でも、客室といい1階のフリースペースといい、全体に無駄がなく、必要なものは大体揃っていて使いやすく、分かり易いのです。

「アルネ」でこのホテルのことが紹介されて以来ずっと気になっていたので、実際泊まることができてとてもラッキー。そして、やはりアルネに出ていた「ボンコアン」へももちろん行きました。

ホテルを出て右へひたすら15分ほど歩いたところ。Photo_4

アンティークの生地やレース。欲しくなるものがいっぱいで目移りしつつ、アンティークボタンとリネンの古着を買いました。

ちんちん電車がゆっくりと広がった大通りを通り抜け、車は少なく、自転車が多い。高知の皆さんにマニスを着ていただけて、私も高知のステキなところをたっぷり見る(食べる?)ことが出来て、これって最高のシアワセですよねきっと。

つづく

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2009年1月10日 (土)

高知です!

書き損なった年末年始のことをまた書きそびれ、昨日から高知に来ています。

東京も初雪、というさむ~い中。高知は着いたとたんに春のようなゆるっとした空気。寒さが苦手な南国体質(ともはや化している)にはありがたいタイミングでした。

空港から市内への道が「南国通り」というのです。すばらしい! サウザンカントリーストリートじゃない! …な~んて意味不明なことでひとりニヤニヤ(失礼)。

高知「じぎじぎ」さんにて昨日から開催中のマニス展なのです。

どんなお客様がいらっしゃるのかな、と、とても楽しみにしておりましたらマニス作品展にいらっしゃる皆さんとなんだかよく似ていらっしゃる方多し。皆さん、とても前向き

楽しく好きなものを買って「よ~し、これ着てまた頑張るぞ」というオーラがいっぱいなのです。

景気のことばかり話題になりがちな最近、確かに前ほど欲しいものが買えなくなってきました。でも、おしゃれもできない、服も買えない、とネガティブな気持ちになるのはかえってよくないのだといいます。これ、最近読んだサティシュ・クマールという人の本に出ていたはなしです。節約や省エネは前向きにできるのであればそれが一番ですが、つらい気持ちで我慢するくらいだったらやらないほうがいいって。つまり、気分です。気分が前向きかどうか。ひとりひとりの気持ちが幸せでありがとう、って思えることが地球を守ることにつながるという考えです。

高知に来て、芯の強さとポジティブさをまずいちばんに感じた次第。自分がそうしたことに敏感になっているせいでもあると思う。私はとにかく年明けから感度が高まっていて、こんなことを言ったら誤解を招くかもしれないけれど、今年2009年を楽しみにしているのです。昨年よりもっと大きな災難もあるかと思うけど、服を通して今までよりも更にたくさん自分たちに出来ることをしていきたいな、と思って。

うんちく話にて

写真なしであしからずご了承ください!

セブンデイズホテルにて。

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2009年1月 6日 (火)

12月からのことをさかのぼって

あけましておめでとうございます!

今朝、お正月の空気がまだ残る日本へ着きました。年末の3週間のバリでは、パソコンの調子がついぞ整わずブログがすっかりブランクのまま年が明けてしまいました。

それで、時期はさかのぼりますが12月に書ききれなかったことの続き~バリでのお正月までをきょうからずらずら書かせていただこうと思います。

見ていただく皆様にはまことに申し訳ありません… 拾い拾いお読みいただければ幸いです。

Photo_2
12月某日の記 「目がハート」

作品展が終わってからの1週間弱は、いろいろなところへ出かけていきましたけど、ガレットはダメ押しもう一度行きました。ガレットランチのキャラメルソースクレープ、翌日「キャラメルソース」のワッフル、と続きましたが、そう来るとゆかちゃんのお店にも行かなくちゃ! と、またその翌日です。

ゆかちゃんはもともと原宿でそば粉のクレープ屋さんをやっていたのだけど、今は東日本橋で木造民家風のお店「ウフ」をひとりできりもり。仕入れから仕込み、サーブ、お掃除、何でも全部自分でやっているんだって。「子供はもうおっきい(高校生)から家のことは大体やれるし、働くわたしはお父さんみたいなものよ!」と、ゆかちゃん。頼もPhotoしいです。

ランチタイムはいつも込み合っていて、1日6食限定の日替わりランチはすぐに売り切れ。私が行ったお昼過ぎはたまたまひと波去った直後でラッキーでした。きくよさんも浅草橋の糸やさんへ行くついでに時々ウフでお昼するらしいけど「混んでていつも話しなんてできないよ~」、と言っていましたから。

日替わりはもちろんもうソールドアウトでしたので、ガレットランチ850円というのをお願いしました。

よしきた、ゆかちゃん早速厨房へ。

ガレットはもちろんそば粉100%です。ハムと卵でシンプルなブルトン風。Photo_3

私、ず~っと昔にフランスのブルターニュ地方を旅行したときに、このシンプルな食べ物をはじめて食べました。ゆかちゃんによれば「貧しい地方だから昔はそういう食べ物しかなかったんだと思う。小麦が取れないからそば粉、ワインのぶどうが育たないからりんごのシードル」。ブルターニュはストーンヘンジのような巨石群が線路に沿ってどこまでも続き、何となくアイルランド(行ったことはないけれど)みたいな風景。そのままこの景色がスペインのバスク地方まで続いているのが何ともアメージングだったなぁ。貧しさなんてちっとも気がつかないままだった。

ごく限られた材料だけでつくられるガレットは、いまどきの気分といいましょうか、シンプルでどこかほっこりなごむ食べ物です。

カフェ&スタジオ・ウフの住所はPhoto_4

中央区東日本橋2-11-3 1階

お近くの方、ぜひお試し下さい!

デザートは時間がなく試せなかったのでそのまま包んでもらって、その足で(方面的には大分遠かったけれど)伺った岩立先生のお店へおみやげに。岩立さんのご主人ジョージさん、どうもスイーツ好きとお見受けしていて。さくっと包まれた「自家製キャラメルソース」のクレープをお渡しすると、大のおじさん、「うわ~、クレープ」と目がハート。こんなに喜んでいただけて何よりですわ。

というわけで、3回目のキャラメルソースは私よりうわてのジョージさんのものに。Photo_5

岩立さんのお店は年内でクローズ、改装されるとのことで、この日はお客様もたくさん。しかしわたしごときは、インドの達人先生からブロックプリントの工房への行き方を伝授いただきました。先生は「まだ若いんだから! 今度は自分でいきなさい」って。え~、ご一緒ではなくてですか? 「私なんて30年間ガイドなんかほとんど頼まないでどんなところへも行ったわよ」、ですって……。最長で3泊3日ガイド付きのデリーしか経験のない私って……。はい、でも、行ってみます。

別室でジョージさんが焼いたという「パンプキンパイ」とミルクティーをいただく。そうなんだ。自分で焼いちゃうくらいのスイーツ派だったんです。納得!

バリに戻って4日後。

犬のルビーが2度目の出産。しかし、出血がひどく母犬ルビーははかなく息を引き取ってしまった。何とか取り出せた1匹目の子犬だけが助かる。この、なんてのすれすれの生と死。後の子達はだめだったけれど、ちびルビーはお母さん犬と兄弟の分までなのか、大層元気。毎日ミルクをがばがば飲んでおります。その飲みっぷりがまさにルビーそっくり。おてんば、わがまま、力持ち、で、ウランちゃんみたいだったルビーの性質をそのままもらっております。

ルビーと一番仲が良かったデワさんは男泣き。しかし、かわいい生まれ変わりにこちらも目が

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さて、続きはバリ部のクリスマスなどなど。また明日以降に!

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