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2007年9月26日 (水)

ブログ版『まめしんぶん07秋』3

きょうもバリ制作部のおすすめをいくつか。作品展ではここでご紹介するもの以外にもいろいろ並びます。

≪07秋おすすめ服≫

きょうはまず先日から予告中の「ネル」について。その他のいちおしも挙Photoげておきます。

竹炭染コットンネルの二重服

ネルを竹炭で淡く染めた独特の色(そのかわいさに即とびつきました!)。TTTの長谷さんがつくった布。ネルの良さは、着ていくうちにくたっとなってそれがかわいいと思いますが、この布は染色でもまれてある程度のユーズド感が出ています。素敵なアイデアです。二重服と名づけた裾で2枚の服がつながっているかたち。着方がいろいろありますので遊んでください。

超低速織ウールと天然染めバティックのリバーシブル

長谷案を膨らませておなじみバリでの草木バティックの手法をネルで試しました。しかし、3ピースつくったうち2ピースが失敗。ナントカ出来たのはたったの3着。なかなかかわいいのに惜しい事をしました! 柄はあえて言うまでもないものですが、毛足Photo_2と厚みで均一に染めるのが難しいようです。表地のウールについては下記をご覧下さい。出来上がりがどことなくシャネル風(?)のラウンドネックのトップです。数が少なく恐縮ですが、今回ダントツおすすめ服。

超低速織ウールのシリーズ

ションヘル機と呼ばれる明治時代にドイツから入ってきた超低速織機による布です。職人が織るような手づくり感を求めて今でもごく小規模に使われているそうです。ゆっくり織る分、糸に無理がかからず強くて柔らかい織り上がりがポイントとのこと。某メンズ用ウール生地の老舗につくっていただきました。ウールに麻、シルクが入ったトップグレーPhoto_3の糸も独特です。本当はもっとふくらみを持たせたかったのですが、これで限界。パッと見た目に地味な印象もありますが、何とも気持ちのいい安心感のある布です。裏地つきや二重づかいで着やすい服がいろいろ揃いました。仕上げにちくちくステッチワークを加えて。写真はバルーンジャケットです。

そもあんさんのネル

先日のブログで「悩み中」だったネルは、こんなふうな出来Photo_4上がりに。ブローチです。

パッチワークのバッグ

何年も前につかったトゥバンの手つむぎコットンのはぎれを中心に、カラフルなパッチワーク。配色にかなり悩んだいろいろな8個。表地と中地のくっつきが少しゆるいのですが、パッチワークの雰囲気を生かしてあまり固くならないよう仕立てています。こちらのブローチはおまけです。

インド産ブロックプリンのリバーシブル

SHブルーと赤のブロックを組み合わせて両面着れるシャツを。比較的大人しい柄同士を組み合わせたらお互いがPhoto_5引き立ちました。襟元に封筒の留め具型のボタンをレース編みで。2配色あります。

≪ひとりごと≫ バリではきょう26日が満月。半年にいちどのプラ(お寺)の大きな行事と重なってきょうの満月はかなりたくさん儀式があるのです。それで今週は多くのバリ人は忙しい。制作部スタッフもきょうは半分はお休みです。うちでは、ちょうど中秋の名月だし、お月見だんごでもつくろうと思って昨日からあずきを煮ているところ。アンパン好きな主人と子供に家で煮たあんこをまだ食べさせたことがなかったし。

明日から3日間作品展、皆さまどうぞお楽しみに!

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2007年9月25日 (火)

ブログ版『まめしんぶん07秋』 2

きょうも懲りずに日報です!

まだまだお知らせしたい事がたくさんあるため、あしからずお読み下さい。

≪ひとりごと≫

この頃、うちでは犬が急に増えました。誕生日にもらったラブラドールのルビちゃんと、コピの子供5匹が加わってぜんぶで8匹。今週はそろそろ子犬たちの方をよそにあげようと思います。生まれたての頃は5匹一緒が幸せそうだったけれど、ひと月もたつと一匹ずつがかわいがられた方がいいように思い始めました。子犬って子犬どおしだと喧嘩するし、そろそろ母犬も面倒くさそう。本当は2ヶ月くらい一緒に居させた方が母乳Photo_4からの免疫力がついていいそうなのだけど。いちばんの理由は私たちがあまり愛着がわかないうちに……、ということだったりする。それにしても野放し犬が多い(多すぎる!)バリなのに、欲しい人もわんさか。皆やはり犬好き。上げるのに苦労しないというのはまずまずいいことです。

≪07秋おすすめ服≫

さて、きょうも秋の服たちのご紹介です。

きょうのはカラフルな服のパートから。

ブログなのに非常識な長さ? 

お読みくださりありがとうございます。

バリシャンブレーをつかった「逆アップリケ」と「ノクシカタ風ステッチワーク」

マニスのベースともなっているバリの手織シャンブレーをつかって、今回はPhoto_5ふたつの手仕事を。

ひとつは、ずっと前から気になっている逆アップリケ。生地を2枚以上重ねて上の生地をモチーフごとに切り開いて下の生地に縫いとめていく方法です。今回は下の生地が生成りで上の生地が色。シンプルなクロス柄でつくってみました。衿なしの短めの前開きなのでウールの時期だけでなく通年着ていただける服です。

ノクシカタ風を目指した方は、ランニングステッチでのタータンチェック。日本の刺し子のように厚ぼったく固くないのがノクシカタの特徴なので、半分は上の生地だけに刺し、半分は2枚あわせて刺しました。しかし、いかんせん時間がかかりました! バングラディシュのノクシカタはいったい何日かかっているのかと改めて考えちゃう。もっともコツがきっとありそうです。マニスでは日本のくけ台を使いました。

以上はサイト内にて先日リニューアルした『お買い物』ページにも入っています。

ナイロンとジョグジャバティックのわた入りベスト

今回のDMで上に着ているのがこれ。表に化繊のナイロン、裏にモダン柄のPhoto_6バティックをつかったいわゆる異素材の組み合わせです。大好きなジョグジャの老舗で眠っていた小さなピースは、バティックらしからぬおしゃれな柄。ぜひ面白い服になって欲しいと、買ってからもずいぶん考えさせられました。いったいいつごろ誰がつくったのだろう、と何度もながめてしまって~。しかしナイロンと組み合わせが自然に馴染み、ナットク。3柄、限定5着。おすすめです。

カシミアのカラフル・パーカー

極上カシミアにて国内で1点ずつつくっている大変贅沢なニットです。今年はボタン使いのないフードつきのたっぷりしたデザインでカラフルなラインナップ。5色で10着限定。裏目使いで立体的なかたちなので、製作者のUさんには試作段階でずいぶんご苦労をおかけしましたが、お蔭様でとてもいい仕上がりに。その上良心的な価格にしていただいています。皆様Photo_7ぜひ袖を通してみてください。松澤さんが日本部通信で紹介してくれていますので、そちらもご覧下さい!

マドゥラ風バティックのニューフェイス

ときどき、ひょんなところで出会う「マドゥラ風」と勝手に呼ばせていただいている大柄バティック。今回も掘り出し物。スラバヤの近くにあるアリ工房というところのもの。これで現地の(かなり田舎の方の)人向け腰巻ですからおしゃれなもんです(実際マドゥラ産は今ブーム)。サロンなので中央に違う柄が入っています。そのまま素直にスカートにしてこんな感じ。今回初のボックスタック型、ウエストに軽くゴムが入っており履きやすそう。秋向けにしっかり感が出るようコットンキャンバスと2枚あわせて縫いました。限定4着。

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2007年9月24日 (月)

ブログ版『まめしんぶん07秋』No.1

この秋は『まめしんぶん』の2号めを印刷したいな~、と思っていたのですが、あれっ? もう何日かで作品展じゃないですか。それに、今年は7月にIFF参加で臨時帰国したことやいろいろで、今期は帰国をしないことに急遽相成りました。それでこの場を借りてどんな風にどんな服ができたかご紹介します。

きょうから3日間の連載です!

≪NEWS≫

「日本部通信」というすごくまじめなネーミングながら、結構いろいろなことになっている(!)ブログのようなのがこのサイト内で始まっているのを、皆さんご存知ですか? 私はこれ「お気に入り」に入れてます(あ、当たり前か)。個人的には日本のお天気(タコが干からびそうなくらい暑いとか…)、各地のギャラリーの催し(ほぼ行けないに等しい)、私のケチケチ精神が伝播したかのようなリサイクルのアイディア(!)にふむふむです。「お知らせ」のページ内に入っていますが、いろいろな意味で(?)面白いので皆さんも是非ご覧下さい!

≪ひとりごと≫

前にうちの庭に「シンガポールの木」を植えたことを書きましたけど、その木についに花が咲きました。背はどんどん伸びてついに2階の軒に届くくらいに。デワさんが「1年くらいですぐに木になるよー」みたく言ってたのはウソじゃなかったのです。しかし、巨大化しているのはそれだけじゃありません。UBUDに居たときに植えたのを引っこ抜いて植えなおしたモンステラなんか、葉っぱの巾が1メートルに及ぶくらいに育ってる。フェニックスの足元に植えたヘリコニアは植木屋が出来そうなくらいどんどん繁殖している。この辺りの土に養分が行き届いているという事なのでしょうか。何だか、気のせいか自分の足まで大きくなってきているように感じるこの頃(そんなはずは!)。この頃ちゃんとした靴に足が入らなかったりする由。

≪おすすめ服≫

きょうはウールの服をいくつかご紹介します。

長々とお読みくださりありがとうございます。

「国産キャメル・シルク混ソフトウール」。

肌着にも着れちゃいそうなやわらかウール地のシリーズです。生地は一宮のウール屋さんが考案したもので、この薄さと柔らかさは何年か前に流行ったパシュPhotoミナを思い出します。でもパシュミナよりももっと薄くてふわふわしてるし色目もナチュラル系です。ウールをベースにキャメル、シルクが入っており、ごくごく甘く織られている。ウールってすごく「生きているな」と思うのですが、それだけに触り心地に敏感になります。柔らさ=少ししわになり易い、という点も一方で特性なのですが、年間を通してかなり出番が多そう。とにかく是非お試しいただきたい素敵な風合いです。

「ラオス・ルアンナムタ産手織コットンチェック」。

おなじみTTTのラオス布シリーズです。綿の手織は厚ぼったくなりがちで織が不均等なものが多いのに、さすが、いいですね~このチェック。見た目よりも薄手で扱いが素直でした。仕立て上がりにも表情があります。写真のスカートとDMに載っているのと同型のパンツとをつくりましたが布巾が小さいので服としてはかなりの限定版。でも、残った布端で今後いろいろな小物にも使っていくつもりです。

キュプラの服。Photo_2

思いつきで裏地の生地でつくったブラウス。しかしこの服が出来た後に、滑りの悪い服どおしを重ねて着るとき間に着るといいかも! と。実際はどうなんだろう。自分でも試してみたい気持ちでいっぱいです。キュプラは汗をかく季節にはあまりお呼びではないけれど、重ね着の季節にはもっといろいろな使い方があるかもしれません。今回は袖口にエラスティックを入れたふんわりしたパフ袖で身頃はクラシカルに立体的なデザインです。

ペルー手織ウールで

久しぶりに入荷したペルー産ウール。今回のものは柔らかく色目もおしゃれに上がってきていておすすめです。これでアウターは普通なので、薄くしたてて中間着に。フィットシャツと呼んでいるシャツの型紙で端をぜんぶフリンジに。比較的裏地はバリシャンブレーをバイアスに使っていますので、最初多少伸ばし目でも着込むと体の線に馴染んでくるのでは。

Photo_3 残り布のマフラー

今年はちょっとゆるめで大きな編み目のマフラーにしようと、これも思いつきで残り布で。いろいろなウールの残り生地をひたすら長~く切って編むのです。最初は切り端からの毛羽がすごくてどうなることやらと思いましたが(マスクが必要)、編んだ後によく毛羽を取り端の始末をするとマフラーらしくなりました。配色はカラフルなのやナチュラル系、いろいろあります。

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2007年9月14日 (金)

ネルのことなど

もうすぐ開催の作品展。今週バリスタジオではその追い込み制作で大忙し。集中力に磨きがかかっています!

どんなものが出来つつあるかというと……。

今回は季節柄ウール生地が中心ですが存在感のある布たちもあちこちから取り入れています。

まず、ジョグジャのニュートレンド(?)的存在のバティック。デンパサールの富裕層を対象に最近ちらほら目に付くおしゃれ系バティック専門店で手に入れたものです。このところの傾向で、たいへん控えめな色合いながらソガ染めと違い、むしろ日本の伝統色に近いフィーリング。しかし誰が染めたものか、よくここまで深い色で統一できたなぁ、と関心。このような渋色系はしかし、綿地のサロンやカインパンジャンだと案外見つからないのです(なぜって、ご存知の方も多いかと思いますが、昨今のセレブは“シルク”がもっぱらお気に入り)。私の好みに偏っているかも知れませんが、バティックってやっぱり木綿がいちばん。服にしても自然に見えます。秋冬に着るならぜひ明るい色のマフラーやセーターと組み合わせて着ていただきたいなと思います。表地にナイロンワッシャーをつかったリバーシブルのベストは着易くておすすめですよ! たっぷり羽織るジャケット型もつくっています。

ブロックプリントは昨年はわた入れにしましたが、今回はひっくり返して両面着れる(つまりリバーシブルということですが)ブラウスに。柄どおしの掛け合わせでなかなかユニークな出来上がりです。しかしブロックって、やっぱりいいなぁ。バティックでもチャップという版押しがありますが、バティックがロウを使った防染なのに対し、ブロックは版で直接染める。その仕上がりのちょっともったりした感じが個人的に好きです。いつかこれを自分たちでつくってみたいものです。……、あ、ひとり言。

Photo それから、ネルです。

TTTの長谷さんがつくった竹炭染めのネル。そのうす~いやわらか~い色を見たとき即買いしたもの。こういうあまりにかわいらしい布って考えさせられます。何をつくろうかって。それで、まずはイカ(!)のようなかたちの服がひとつできました。

もうひとつはバリの草木染バティックで挑戦中のネル。即興の豆柄です。ですが、実は今まだ染め上がってきてません。間に合うのかどうか……。今週はバリで儀式が多い週だから心配。

もうひとつありますの。写真の、昨年買ったそもあんさんの「昭和のネル」のはぎれです。こんなにかわいいとほんとうに最後まで悩んじゃいます。あ~、でもそろそろ切り始めないと!

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2007年9月10日 (月)

モチ系について

バリではじめて長く滞在した頃……というともう何年も前になりますが、朝ごはんを市場に食べに行くのがいちばんの楽しみでした。朝8時前のUBUDの市場はローカル御用達。9時を回る頃には通路に野菜や魚をひろげて売る人たちは退散して観光客向けのお店がオープンします。ねらい目はもちろん8時前。バリ人のおばちゃんが群がっている露店はやっぱり当たりが多い。中でも甘い色とりどりの餅菓子や芋の煮たのをチャンプルして椰子砂糖のシロップとココナッツをおろしたのをかけて包んでくれるのがあって(あれのこと何て呼ぶんだろう?)、もうやみつき。ひと包み1000ルピア。この素敵な朝ごはん売りはいつも居るわけではなく、しばらく姿を見ないこともある。運良く買えたらバンガローの朝のコーヒーと共に。もし買えなかったら市場の中のワルンでコーヒーとブブール(おかゆ)ピサンゴレン(揚げバナナ)っていう手もある。

この甘餅(バリ人はジャジャと言う)チャンプルはギャニャールのナイトマーケットだとたくさん売られています。そちらもかなりの行列。一人でいっぱい買う人がいるので待つこと10分以上。でもね、朝じゃないと。夜に食べたいのはどっちかっていうと「揚げ豆腐」チャンプル3個で1000ルピアの。甘餅チャンプルは朝のコーヒーとじゃないと!

Photo_2 さて、写真の色とりどりお菓子はデンパサールで昔からあるムスリム系のお菓子屋さんのもの。うちの主人が子供の頃からあって有名なんだって。こういうおもてなし用はバリでは儀式で人がたくさん家に来るときなんかに注文することが多い。お供え物の色彩を見て分かるようにお祭り関係ではいろどりにうるさいバリ人だけに、きれいでおしゃれなお菓子屋はそれなりに知名度が高いらしい。そしてポイントは種類の多さなので、ひとつふたつ買うより20~30個くらいいろんなのを取り混ぜて買うべき(と勝手に思っている)。私の場合スタッフへのおみやげに買う。大きなケーキをみんなで切って食べるのも楽しいと思うけど、皆がどれにしようかやや真剣に迷ってるのを見るのもいいものです(?)。

このカラフルなお菓子について最近読んだ本「マレー半島・美しきプラナカンの世界」に書いてありました。つまり、マレー半島からインドネシアへ伝わったもののよう。特筆すべきは、このカラフルな色は着色料によるものではなく、葉っぱや花から抽出したものだということです。ちなみにこの本、いろんな意味で参考になります。おすすめです。

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