本についてひとりごと
今週は子供が“お祭り”やらのある親戚の家へ泊まりにいったきり帰ってこないので、すごく自由です、私。旦那さんも同じくあっちへ行っているから(別の理由ですが)時間がいっぱいあります。おとといはUBUDの街へ出かけて得意のひとりごはん。観光客だった頃よく行った観光客向けレストランでこっそりシーフード。でも、バリではこういう“ひとり”はあまりハッピーなことに見えないのです。「ひとりで大丈夫?」、って周りの人から心配される。これ、バリのいいところのひとつですね。嬉しいナァと思いつつ、こういうタイミングを有効に使わねば。
もうひとつやりたいこと。本を読むこと。普段は子供を寝かしつけてからまた仕事(やり方によってはそんなに働かなくてもよろしいのかも)。家事全般はお手伝いの女の子がいるから私はノータッチでも、家族がいればごはんづくりは自分でしたいなと思うので、普段の1日は結構せわしない。本などなかなか読み進まない。でも昨日は文庫を1冊読むことができました。快挙。
いつ買ったものか忘れたけど「センセイの鞄」です。雑誌クウネルの連載で短編を読んだことはあったけれどハマりました、川上弘実さん! 世間一般いろいろ評価はありますが、私にとって良かったのは導入部「月と電池」の章。だって、主人公のツキコさんは冒頭からひとりごはんしているじゃないですか!(かなり個人的主観) ……をしていると高校の頃のセンセイが同じお店で同じく……(正確には居酒屋にてそれぞれひとり酒)。そこから物語がはじまるのですが、読み進むとこのツキコさんはどうも自分の友達によく似ている。のようでいて、独身の頃の自分とも妙に重なる。真ん中辺りで「干潟―夢」という章があるのだけど、すごいな、この創作力。物語が突然彼岸の境目にやってくる。それまでとごく同じ描写で。夢なのか現実なのか思わず何度か読み返す。……あっ、すみません。こんな説明では何のことやらちっとも分かりませんよね。ともかく、ホント文庫カバーの裏にもあるとおりかなり「名作」だと思います(ひとりごはんの意味は別として)。物語の顛末はやはりツキコさんとそのセンセイが結ばれセンセイの死で終わるというやや期待通りの顛末なのだけど、そのゆっくりとした成り行きがまこと美しい。まだの方、ぜひお読み下さいませ。
きょうは次の本を読み始めました。先日バリに2泊3日という短い出張で来た友達からもらったもの。「外国にいるとき読むものって私は落語が好きなんだよね」って。まだ読みかけのをくれたのです。で、読み始めると……。笑えて気晴らしなのかと思いきや、へーっ、何だか奥ゆかしい。私、落語に対する知識ゼロだったかも知れません。こういう本、自分ではまず買わないし、今にぴったりじゃないですか。
というわけで、おふたりともまだあともうしばらく帰ってこなくてよろしいのです。